長年眠っていた X68030 本体と関連グッズを手放すことにし、動作チェックを行っていましたが、電源が故障してしまいました。電源を取り外し、コンデンサなどの部品を順次取り換えてみましたがなかなか手ごわく、復活しません。
いろいろ調べてみるとX680x0の電源SH4のATX化がいくつか見つかり、試してみたところ、おかげさまで起動することができるようになりました。
まずはお礼を兼ねて、丁寧な図を載せてくださったmojiraさんのサイトをご紹介。
作成手順はこちらのサイトをご覧ください。
X68000電源換装
http://mojira68.blog24.fc2.com/blog-entry-1.html
類似の製品がbeep-shopなどで販売されてるようですが、品切れ状態が続いているので私も自作することにしました。
これは以前に満開製作所が作ったATX/SH4変換ケーブルがもとなっているようです。電源自体は対応する電圧どうしを繋ぐだけですが、ATXのPower Onのシグナルが負(GND)に対し、SH4は正(+)状態と反対なため、ロジックICで反転させています。これによりX68030 本体のスイッチで電源ON/OFFが行えます。
X68030 は電源スイッチをOFFにしたあと、フロッピーの状態のチェックなどを行ってから電源が切れます。この間LEDが点滅しますが、これもちゃんと行われます。
手っ取り早く代用品が必要な場合は、SH4とATXで対応する電圧の線を繋ぎ、ATXのPower OnをGNDにつなげば使えるかもしれませんが、乱暴な電源ON/OFFは本体にダメージを与えかねません。ロジックIC(7404)が入手できるなら先人の成功例に倣うのがよいでしょう。
最初、電源ON後にちょっとだけフロッピードライブの動作音がしたあとディスクを読みにいきませんでした。フロッピーディスクドライブのフラットケーブルはSCSIモジュール経由で本体底面に差しますが、右タワー用の二極コネクタを穴を通して渡すときに抜けてしまっていました。動作確認のときはコネクタが全部繋がっているか、確認しましょう。
とりあえずは元の電源のケーブルを利用して作成しましたが、元の電源も修理したかったのでコネクタ類を調達し、作成し直しました。
以下、調達した部品のまとめです。
価格は2024年7月時点で、税抜、税込混在していますので、目安とお考え下さい。
ATX電源
200Wの小ぶりなSFX電源でも動作しました。ただし、私のX68030にはハードディスクがありません。
DELTA ERECTONICS, INC. DPS-200PB
メルカリで中古1,200円で購入。サーバから取り外した電源とのことで、そのためかいささか音が大きい。継続的に使用するにはファンの交換が必要でしょう。
所持していたので試しました。こちらは300Wで音も静かです。
mojiraさんの記事では20ピンのATX電源ですが、もちろん24ピンでもかまいません。私はフロッピードライブ用の3本を追加の4ピンの方とつなぎました。
ちなみにATX電源には同じ電圧のピンがいくつもありますが、回路別に電流を分散させるのが目的で、根っこは同じところにつながっているようです。
ATXコネクタ
SH4代用電源専用とするなら直接線どうしを接続してしまうこともできますが、そうすると移動するときに本体と外部電源を一緒に運ばなければいけません。やはりコネクタを付けた方がよいでしょう。
ATX電源側がオスなので、メスのコネクタが必要です。
mojiraさんと同じく、ATXオスメス変換ケーブルを購入しました。
Amazonで400円前後で購入できます。
6ピンコネクタ 3.96mmピッチ
同じ形状のものが通販で見つかりました。後述の山本無線でも扱っていました。
若松通商 VHR-6N 40円 (コンタクトピン付き)
共立エレショップ VHR-6N 16円 (コンタクトピン別)
2ピンコネクタ 3.96mmピッチ
右タワー用の5V電源用。
秋葉原駅前ラジオセンター2Fの山本無線電材店で同じ形状のものが見つかりました。
モレックス 5195-02 50円
コンタクトピン モレックス 5194TL 15円/本
型番が分かるとMarubeni Online Shopで通販でも購入できるのがわかりましたが、その前に試しに似たものを購入しました。一応代用にはなります。ただし、+-を差し間違えないよう気を付けましょう。
若松通商 VHR-2N 26円 (コンタクトピン付き)
共立エレショップ VHR-2N 11円 (コンタクトピン別売)
3ピンコネクタ 2.5mmピッチ
コンタクトピンの仕様が異なりますが、サイズ、ピッチが同じものが山本無線電材店にありました。
AMP171822-3 50円 コンタクトピン別売
試しに購入したものはちょっと小さくお薦めできませんが、とりあえず動作確認は行えました。これも+-を差し間違えないよう気を付けましょう。
共立エレショップ EHR-3 11円 (コンタクトピン別売)
汎用の7404を購入しました。
若松通商 M53204P (7404) 64円
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ATX電源で本体の動作が確認電できたところで、SH4電源の修理を再開したところ、どの部品が決め手になったのかわかりませんが、修理に成功しました。
なにぶん素人なもので部品全取り換えまでは行わず、電解コンデンサ、ツェナーダイオードと、問題ありそうな部分だけ取り換えています。
問題部分を探すのに、Kunihiko Ohnakaさんの
X68000シリーズ電源の部品面から見た抵抗配置図https://drive.google.com/file/d/1aXbfzF_zwfEswQ6yfBAbI7jxxhpNHxB6/view
が役立ちました。
「部品実装状態での実測値」を見ながら測定したところ、R37が絶縁状態になっていたのと、R4が怪しい値でした。おかしくなるには理由があるわけで、その周辺の部品を交換しています。どの部品が問題だったかまでは突き止めていませんが、ZD32、D33、D35などを交換しています。
SH4電源修理のためにコンデンサ、抵抗、ダイオード等のセットをメルカリで購入しましたが、それに含まれていなかったものを探しました。
[]内の名称は配線図の部品番号と部品名です。
なお、互換性は私個人の判断ですので、保証の限りではありません。
ツェナーダイオード
[ZD51 HZS15-1L]
HZ15-1, HZ15-1TA 14.1~14.7 500mW 若松通商 53円
FET
[Q1 2SK643/2SK724/2SK735]
2SK735 若松通商 481円
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ついでながら、ディスプレイケーブルのDsub15ピン2列を3列のRGBケーブルに変換することも試しました。通販で部品と取り寄せるとき、送料の方が部品代より高くついてしまうので、ついでに買うものはないかとディスプレイのコネクタも追加したからです。
RGBケーブルが一本余っていたので、これのコネクタ部分を切り離し、2列のコネクタに接続しました。
X68030はVキーを押しながら起動すると640x480モードになります。線を繋ぎ替えるだけで液晶ディスプレイへ表示することができました。
Dsub15ピン2列のアナログディスプレイケーブルと3列のRGBケーブルのピンアサインの対照は次のようなWebページに載っています。
VGAケーブルを作って見た。(2列←→3列 D-SUB15ピン)
http://rdstyle.cocolog-nifty.com/gm/2020/02/post-3324c0.html#google_vignette
既製品のRGBケーブルは製品により配線の具合が異なるようです。私が使ったのものは6,7,8ピンのRGBのGRDがケース、シールド線と接続されており、線としては出ていません。RGB信号線が個別にアルミ箔でシールドされ、その中に細い線が一本はいっており、これがGNDと接続されています。そこで、この細い線を2列コネクタRGB GNDに接続しました。これらはみなGRDとどこかで接続されています。シールド線は2列コネクタのケースに接続しました。これで液晶ディスプレイに表示できました。
私の場合の配線の対応は次のようになりました。
3列 2列
1 1
1GRD 2
2 3
2GRD 4
3 4
3GRD 5
13 14
14 15
シールド ケース
ただ、解像度が640x480なので横長ディスプレイは使い勝手はよくありません。ブラウン管ディスプレイが壊れたときの緊急対応用に保管しておきます。
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一難去ってまた一難で、フロッピーディクドライブが不調になりました。
「システムを起動できませんでした。リセットして下さい。」
「エラーが発生しました。リセットして下さい。」
などが発生します。ドライブを取り外してグリスを塗ったりしていたので、何か悪さをしてしまったかた、再度チェック。さらに分解するとかえってとりかえしのつかない状態になりそうなので、いったん諦める。
いろいろ調べると、SRAMのバックアップ電池が切れているとこの症状がでるそうでそれを交換したら直ったという記事を見つけました。
SHARPパソコン X68000 EXPERT-HDのバックアップ電池交換http://kanchan707.web.fc2.com/X68KBATT.htm
X68030の底蓋を外してメインボードを取り出し、バッテリーをとりはずします。バッテリーの型はPanasonicのVL-1220/HFK。これとズバリ同じものはがみつからず、端子タイプが異なるVL-1220/VFKをAmazonで購入。ただいま到着を待っています。AliExpressにVL-1220/HFKがあるにはあったのですが、値段も安くなく到着がいつになるかわからなのでやめておきました。
ちなみにML-1220というのもありますが、VLがバナジウムリチウム二次電池に対し、MLはマンガンリチウム二次電池で、仕様を見ると出力電圧はどちらも3Vですが充電電圧が異なります。発火の原因になるといけないので、MLで代用するのはやめた方がよさそうに思います。
さて、バッテリーが届いたのでさっそく交換する。端子タイプが縦型だが、折り曲げるとうまい具合に穴にはいった。
交換後すぐは以前と同じ状態が発生。これで諦めるのはつらいので、再度ドライブを取り外してコネクタをしっかりはめ直してみる。おお、起動した!
バッテリーの交換が功を奏したのか、コネクタの接続が甘かったのか定かではないが、いずれにせよ古いバッテリーは電圧が0.3Vくらいで寿命が尽きていたので、交換が必要だったのは間違いない。